ふた月日本にいたということは、そのふた月はずっとパリを留守にしていたということになる。
すっとからだに馴染んでいる部分と、ややよそよそしいところから再出発する部分とがある。
一人歩き、自転車、メトロ、このあたりはすいすい。
フランス語、それを使って骨董市でのちょいとした駆け引き、それからスーパーマーケットでの
お買い物もどうも勘が戻ってこないところがある。
日常がまるっと入れ替わるというのはなかなか難しい。ふたつの人生を生きているようでも
あるし、どちらにも地に足が着いてないようにも思える。
あまり考えすぎると憂鬱になってしまうので、時差ぼけを利用して早起きし、ちょっと走ってから
ゆっくり朝食(やっぱりまだご飯と味噌汁)、そのあと骨董市と買い物、部屋を片付けてあちこち
掃除。長いあいだ留守にした部屋の汚れ方。ふた月かけてゆっくりと、静かに積もった埃は、
たとえば山の別荘の、たとえばピアノに積もったそれによく似ている。
夜は10時頃まで明るいので時差ぼけもあり調子が狂うのだけれど、明日からは週末。
早寝早起きして久しぶりの蚤の市にお出かけです。