長いあいだ持っているけれど、ふと考えると紹介したことがなかったこの砂時計。
一応あちこちのイベントには持って行ったことはあるものの、自分で壊してしまうリスクが高いので
あまり持ち歩くのも怖いアイテムのひとつである。
17世紀オランダの静物画にもよく描かれた砂時計は、確実に時を刻み終焉に向かうものとして
当時の死生観をあらわす重要な役割を果たしてきたわけで、この砂時計も実際に時計として
使うというよりは、その教訓のような物としてあったのではないかと思います。
片面には大きな鎌をもった骸骨とまわりにラテン語で
Vulnerant omnes,ultima necat.
時間は、すべて傷つける。最後のものは殺す
とある。これは当時の公共の時計にも刻まれていた格言だったそうな。
時間は金持ちにも貧乏人にも平等で、確実に死をもたらすものだということでしょう。
memento mori メメントモリ 「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という警句
そのもののようです。
反対面は描き替えられているようで、絵具の感じが違っていて、
こちらはラテン語ではなくロシア語で
「世界中の人々はみな似たようなもの。あるものは先に行き、あるものはそののちにやがて行く」
そんな言葉がある(そうです。ロシア語のわかる友人に聞いたもの)。
裏面と同じ死生観。
フルに入っていた砂がゆっくりと時間をかけて落ちてゆき、すべてが終わってしまったあと、
ひっくり返すとまた同じことが起こる。
昔の人がこれをすべての象徴ととらえたのも当然の流れなのかもしれません。
高さ約40cm 直径約18.5cm 売約済み