グラスを冷やすうつわ。
なんだかぴんと来ませんね。
シャンパーニュや白ワインを飲むときに、グラスもきちんと冷やして、というものなんですが、そんなグラスを冷やすことにみんなが重きを置いていたというのがどうもそのピンとこない原因ではないかと思うのです。
そりゃ、バーに行ってマティーニを頼めば、世界中だいたいどこだってそれくらいのことはしてくれます。きりっとしたグラスで飲みたいですもんね。
ただそれが18、19世紀のヨーロッパで普通に、ということが本当にあるのかなあと。
そういえば、フランスのカフェのカウンターでビールを注文すると、グラスを逆さにしてチャーっと水が出る「グラス洗い」みたいなものでグラスを濯ぐんですね。
なんでそんなことするの、と聞いた時にもやはり同じようにグラスを冷やすんだという答えでした。冷やすって言っても、出てくる水は常温だし、グラスが温かくなっているわけでもない。それより、そのグラスにそのままビールを入れるものだから、僕(学生時代のバイトはバーテンダー)としてはグラスの底に溜まった水の雫のほうがよっぽど気になる。ビールが薄くなっちゃうじゃないか。
でも、そういうしきたりというか習わしというか思い込み。そういうもんでしょう、きっと。
その時代はこの中に氷が入っていたのか?
いや、今も氷の少ないフランスにそんなわけはない。
じゃあ水?
それしかない。
それで冷えるの?
いつも疑問です。こんどもうちょっとまともなフランス人に聞いてみます。
このうつわの縁の意匠はあそこにグラスを引っ掛けることができるように付いているそうです。ま、ないものもあるんですがね。それもまた今度紹介します。
現代の使い方としては、林檎や洋梨なんかを無造作に盛りたい。
セザンヌみたいになること請合いです。
28,000-