フォーク、ナイフ、それにスプーンの歴史を調べていくと拍子抜けするほど歴史が浅い。 狩猟民族の必要性からナイフがまず初めに生まれるとしても、フォークとスプーンの登場は それから何世紀も待たなくてはならない。 金属製のスプーンは14世紀中頃のフランスで初めて作られる。15世紀末にイタリアで 生まれたフォークはメディチ家を通じて16世紀初頭にフランスに登場する。 右手にナイフ、左手にフォークという一応の約束事ができたのはヴィクトリア朝イギリス (1870年代)だというから驚くでしょう。 普通の家庭で金属製のカトラリーが登場するのはもっと後になってからのことだろうと 想像できる。ハイジだって『フランダースの犬』のネロだって木のスプーンしか使ってない じゃないか。まあ、それは別の話かもしれないけれど貧しい家庭で陶磁器の皿、金属の カトラリーが普通に使われるようになったのはそんなに昔の話じゃない。 そうやってヨーロッパの野蛮な方々が手づかみで肉をしゃぶっているあいだ、我々は 8世紀頃から箸を使い、その礼儀作法までを江戸時代までに体系化しているのだから これは日本を含め、東アジアが世界に誇れる文化だ。 ヨーロッパ人だってシルクロードを通して箸文化には当時から触れていたはずなのに どうして箸を使わなかったのだろう。不思議だ。その頃から使っておけば、今だって 上手にお鮨が食べられるのに。 (ちなみに、箸が上手に使える外国人を僕はしっかりと褒めてあげるのに、フォークと ナイフをエレガントに使いこなす僕のことは誰も褒めてくれない) 前置きが非常に長くなりました。 今日の13区の蚤の市でただひとつ見つけたもの。このスプーン1本。 スプーン誕生から約400年経った19世紀(フォーク・ナイフの左右が決まった頃だ)、 ミネルヴァ(Minerve:女神、ギリシャ神話のアテナにあたる)の刻印のある純銀。 前にも紹介したと思うのだけれど、ウニプラunis platというこの伝統的なスタイルが 僕は一番気に入っている。 純銀のスプーンならではの薄さ、軽さ、それと唇と舌に触れる柔らかさ。 他のものではちょっと出せない味だと、思う。 【追記】 Tボーンステーキ、スペアリブ、子羊のロースト、この辺りはフォークもナイフも放り投げて 手で食べるに限る。手で鷲掴みしていた原始的な時代(失礼、つい数世紀前)の記憶が まだ残っているからなのかもしれない。
by pointcinq
| 2007-05-13 05:26
| 品物の紹介
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