骨董市で買い付けをするときには何か特定のものを探さないようにしている。
そうするとどうしても眼と頭が偏り、他の多くのものを見落としてしまうから。
見落とす、あるいは、見ているのだけれど見ていない。こういうふうにして、我々がいかに
多くのものを「見ていない」のか、気付かされるのもまた骨董市なり。
実は、今回の南仏での買い付けにはぼんやりとこんなものがあれば、という妄想に近いような
期待がわずかにあった。そのひとつにデコイ、もしくはそのようなものがひとつでもあれば
と思っていたのだ。普段、パリではほとんど見かけることなく、見かけたとしてもそれは恐ろく
ステキな店のステキなウィンドウに鎮座しており、プライスをちらりと横目で見るくらいしかでき
なかったもの。
素材はコルク。手作りにしては造形的に整ったほう。
引越がまだ決まらず、どうにももやもやしております。